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Channel: 阪急沿線文学散歩
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久坂葉子『落ちてゆく世界』に描かれた布引・丸山の川崎正蔵邸

 久坂葉子(川崎澄子)は昭和6年、神戸市神戸区中山手通六丁目七十番地、相楽園のすぐ西に接した一角で、川崎正蔵の孫で男爵家の川崎芳熊と加賀百万石、前田侯爵家の家系に繋がる久子との間に二女として生まれました。訪ねてみると、その跡地は神戸山手大学3号館となっていました。相楽園の表門です。 写真の右側が相楽園、左手奥の建物が神戸山手大学3号館です。...

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久坂葉子の眠る川崎家の菩提寺徳光禅院へ

徳光禅院は久坂葉子(川崎澄子)の曽祖父で川崎造船の設立者、川崎正蔵が布引に開山した川崎家の菩提寺です。久坂葉子はここに眠っています。 昭和27年12月31日の夜、遺体が阪急六甲から棺に入れられ徳光禅院まで運ばれた様子が、月刊神戸っ子2003年5月号「座談会/久坂葉子没後50年に語る...

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川崎家の布引山から西宮神社に移設された旧岩倉具視旧居

久坂葉子の眠る徳光禅院について調べているうちに、川崎正蔵の養子・川崎芳太郎と息子の川崎武之助により東京から神戸の布引丸山に移築された旧岩倉具視旧居が、西宮神社に移築されていたことを知りました。写真は久坂葉子が眠る川崎家の墓所。...

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久坂葉子の堂島の喫茶店「ムジカ」、現在は三宮で営業

富士正晴らが創刊した同人誌『VIKING』のメンバーの溜まり場的存在だった喫茶店「ムジカ」には、久坂葉子も足しげく通っており、富士正晴の『贋・久坂葉子伝』にもしばしば登場します。 その場所を特定できそうな表現が『贋・久坂葉子伝』にありました。<久坂葉子は脚がひきつるような思いで、ムジカにかけつけた。銀行の角を廻り、東へ折れ、するとムジカの扉がひらいて、背の高い男が出てくるのが見えた。>...

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久坂葉子が死の2週間前に喫茶店ムジカで描いた絵

久坂葉子が『幾度目かの最後』で、レコードを鳴らしてくれるいつもゆく喫茶店で何通かの手紙を書き終えた時、喫茶店の主人がいたずらがき帳を持って来る場面があります。<それだけ書き終えた時、喫茶店の主人が、いたずらがき帳をもって来てくれました。何かかいて下さいと。私はホットウイスキーをのんでいたし、多少、私の死と結び付けて考えていたので、いたずら書きをしました。いつもの皿に絵をかく調子で、さらさらと、海の中...

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久坂部羊が喫茶店ムジカで見つけた久坂葉子の絵

 久坂部羊は、阪大医学部を卒業し、医師となりながら、同人誌『VIKING』での活動を経て、2003年に作家デビューした異色作家です。 久坂部羊さん、笹舟倶楽部さんが紹介されていましたが、今年2月に西宮神社会館で講演会を開かれていました。 その著書『ブラック・ジャックは遠かった...

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西東三鬼が住んだ山本通りの異人館を訪ねる

モダンな感性を持つ俳句で新興俳句運動の中心人物の一人として活躍した西東三鬼は昭和17年、妻子を東京に置いて単身で神戸に移住、しばらくトーア・アパートメント・ホテルで過ごします。翌年、のちに「三鬼館」と呼ばれることになる西洋館(生田区山本通)に住まいを移しました。...

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今年のアジア競技大会で頭脳競技として採用されたコントラクトブリッジ

 コントラクトブリッジという頭脳競技があるのをご存知ですか?欧米の社交界ではコントラクトブリッジは教養の一つとされているそうですが、日本でもハイソなゲームとして広まっていることを知りました。...

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山本通の神戸女学院の移転後にできた富士ホテルと西東三鬼

 モダンな感性を持つ俳句で新興俳句運動の中心人物の一人として活躍した西東三鬼は昭和18年から昭和23年まで、山本通りの洋館に住んでいましたが、同じ通りに富士ホテルがありました。(写真は昭和22年に山口誓子と「天狼」を創刊した西東三鬼) 山本通の神戸女学院が西宮の岡田山に移転後、理化学館は解体されず、「富士ホテル」となっていたのです。 (写真は山本通にあった神戸女学院理学館)...

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「藤本義一の書斎」を訪ねる(藤本義一はゴッホの大ファン)

芦屋奥池に、小説家、テレビの司会者、放送作家作家など多彩な活躍をされた藤本義一氏のギャラリー「藤本義一の書斎」を訪ねました。二女の藤本芽子さんと、ギャラリーを管理する画家の方がおられ、お話を伺うことができました。義一さんの机です。 若かりし頃は「東の井上ひさし、西の藤本義一」と呼ばれるほどの賞を競い合った仲ですが、井上ひさしさんからの葉書もありました。...

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山崎豊子『華麗なる一族』神戸の栄町通の阪神銀行のモデルは今

『華麗なる一族』は山崎豊子の綿密な取材により、昭和30年代後半から40年代の出来事をうまく織り込んだ銀行の物語となっています。そこには当時の神戸、阪神間の風景も描かれており、モデルとなった場所をしばらく訪ねてみようと思います。...

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南北を海側山側と表現する街

先だって、東京にお住まいの方から神戸では今でも「海側、山側」と言うのですかと尋ねられました。現在でも変わりませんとお答えしましたが、自分自身普通に使っていました。...

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神戸大丸前の三宮神社の大砲

神戸大丸の斜め向かいに三宮神社があります。 ここに「史蹟神戸事件発祥の地」と刻まれた石碑が立っています。 これは神社の前の西国街道で、西宮の警備を命じられた備前藩の大砲隊と士隊の隊列を横切ろうとした外国人に切りつけ、騒乱に発展した事件です。 神社に入ってみると、黒い大砲がありました。神戸事件で使われた大砲ではないようですが、同じ年代に製造されたものだという説明書きがありました。...

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北原千代さんの『須賀敦子さんへ贈る花束』が刊行されました

 今年は須賀敦子さんが亡くなって20年。親族のお話によると、3月20日の命日には須賀さんが眠る甲山墓園のお墓には、ファンの方の花束や天国の須賀さんに宛てた手紙が置かれていたそうです。...

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小説『華麗なる一族』に登場する郵船ビル

山崎豊子『華麗なる一族』の阪神銀行は栄町通にあり、近くにある郵船ビルが次のように登場します。<万俵鉄平と銀平は、神戸港に臨んだ海岸通りの郵船ビルの地下のバーから外へ出、タクシーを探したが、つかまらないまま、海岸通りを三宮の方に向って歩き出した。>...

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ヴォーリズ設計の広岡恵三邸(森の家)の地図がありました

NHKの朝ドラ『あさが来た』で有名になった広岡浅子ですが、晩年に娘婿の広岡恵三・亀子夫妻にヴォーリズに設計を依頼して芦屋あたりに私邸を建てることにします。(広岡恵三はヴォーリズの妻満喜子の実兄)古川智映子の小説『土佐堀川』では次のように経緯が説明されています。<「ごみごみした人の多いところは嫌いや。緑の森にでも囲まれて生活したら、どないにええやろか」亀子は夢のような話をする。「芦屋あたりはどうやろか...

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小説『華麗なる一族』の万俵邸の場所は?

山崎豊子『華麗なる一族』では、万俵邸は阪急岡本駅の山側に設定されています。<阪急岡本の駅まで来ると、車は山手に向って坂道を上りはじめる。車の正面に、六甲山脈が列なり、その豊かな稜線から、小さな山々の尾根が襞のように柔らかく重なり合いながら、分かれている。その一つが、万俵家が数千町歩にわたる山林を所有している天王山の尾根であった。>実は岡本には、天王山という山は実在しません。この文章だけ読むと、岡本梅...

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阪神大水害で崩壊した川崎正蔵邸と幻の布引公園計画

久坂葉子(本名川崎澄子)は、昭和6年、川崎造船創立者の川崎正蔵の曾孫として神戸に生まれました。久坂葉子の『落ちてゆく世界』は没落過程にある名門男爵家に生きる息苦しさを綴った作品ですが、その中で父川崎芳熊が生まれた川崎正蔵邸について次のように述べています。<何しろ私たちが生まれる頃はやや降り坂だったしく、その豪華版を私は知りませんでしたけれど、父の生まれた所など通りすがりに眺めるたびに茫然とするのでし...

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『華麗なる一族』阪神特殊鋼の場所とそのモデルとなった会社

山崎豊子は『大阪づくし 私の産声』で、阪神特殊鋼のモデルについて次のように述べています。<モデルというと、小説の中の阪神特殊鋼は、山陽特殊鋼をモデルとしていると云われているが、これは作家の想像で特殊鋼の工場を建てることは不可能であったから、優れた特殊鋼技術を持つ山陽特殊鋼を見学し、その規模、生産設備などを下敷きにして、小説の中の阪神特殊鋼を作り上げたのであるが、工場見学した時、感動したことがある。...

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『華麗なる一族』帝国製鉄のモデルとなった会社

山崎豊子『華麗なる一族』で阪神特殊鋼の銑鉄(高炉で製造した溶けた鉄を固めたもの)の購入先が帝国製鉄の尼崎製鉄所です。<資力が足らずに溶鉱炉を持てない特殊鋼メーカーは、どこでも、原料の大半がスクラップであったが、鋼の質をよくするために、溶鉱炉を持っている大手メーカーから銑鉄を買い入れて混入しており、阪神特殊鋼は地理的に最も近い帝国製鉄尼崎製鉄所から月三千トンの銑鉄を買い入れていた。>...

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