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Channel: 阪急沿線文学散歩
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久坂葉子の眠る川崎家の菩提寺徳光禅院へ

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徳光禅院は久坂葉子(川崎澄子)の曽祖父で川崎造船の設立者、川崎正蔵が布引に開山した川崎家の菩提寺です。久坂葉子はここに眠っています。 昭和27年12月31日の夜、遺体が阪急六甲から棺に入れられ徳光禅院まで運ばれた様子が、月刊神戸っ子2003年5月号「座談会/久坂葉子没後50年に語る 中西勝・柏木薫・義山雅士・久家義之」に詳しく述べられていました。「久坂の棺桶を担いで線路を歩いた中西画伯」から抜粋します。< 中西 それをハンカチで押さえながら坂を上った。上に霊枢車がおった。兄貴とお母さんが前へ乗って、ぼくは乗るとこないから後ろに、棺桶と一緒に入ったんですよ。枕元に乗って、布引に向かった。柏木 徳光院ですね。中西 広い本堂で、大きな火鉢があって、お母さんとぼくと当たっていて、ぼくも酔いがさめてしまってね。そうしたら、手についた血がね、ぷんと変な臭いがするんですよ。そこで寝てしまって…> この時の徳光禅院でのお通夜の様子などは、富士正晴『贋・久坂葉子伝』にも詳しく述べられています。その徳光禅院を訪ねてみました。新神戸駅の下をくぐり、砂子橋を渡ります。渡って左手に行くと布引の滝ですが、右側に曲がり、つづら折りの急な坂道を登って約10分です。正面が本堂です。本堂横の庫裡です。多宝塔は国指定重要文化財。 この多宝塔は、名谷の龍華山明王寺のものでしたが、同寺が無住となり荒廃していたため、明治33年川崎氏が買い取り、私邸に移築、更に昭和13年徳光院に寄進、移築したものだそうで、兵庫県最古の多宝塔であり、また神戸市内唯一の多宝塔との説明書きがありました。その横に大きな観音像があります。久坂葉子は大きな観音像の台座、半円形ドームの地下に家族とともに眠っています。実は40年以上前、新入社員教育でこのお寺の庭掃除に来たことがあったのですが、その時は久坂葉子の存在はまったく知らずにいたのです。

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