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Channel: 阪急沿線文学散歩
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島田荘司『ロシア幽霊軍艦事件』の舞台となった富士屋ホテル

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今年の夏の休暇は箱根で過ごし、箱根富士屋ホテルに宿泊しました。富士屋ホテルには二度目の宿泊、数年前の宿泊は幸運なことに本館のチャーリー・チャップリンが昭和7年に宿泊したという45号室でしたが、今回は花御殿の部屋でした。  45号室は本館二階の角部屋(写真二階の左角)で、スーペリアル・ツインですが特に豪華な部屋というわけではありませんでした。  私が以前宿泊した時は、ドアの表示はただ数字のみの「45」でしたが、人気があるらしく今回ドアの前を通ると写真のように、この部屋のみChplin’s Roomという表示が張られていました。  この歴史ある箱根富士屋ホテルを舞台にした小説の一つが島田荘司『ロシア幽霊軍艦事件』です。  ハリウッドで活躍する女優レオナから届いた1通の手紙から、御手洗と石岡は幽霊軍艦という不可解な謎に挑むことになります。富士屋ホテルのマジック・ルームに大正8年の芦ノ湖にロシアの軍艦が現れたという不思議な写真が昔飾られていたことから、御手洗は軍艦が現れた謎とその裏に隠された歴史的悲劇を解き明かすことになるのです。『ロシア幽霊軍艦事件』からです。<「私たちは新横浜駅から新幹線に乗って小田原に行き、そこから箱根登山鉄道に乗り換えて富士屋ホテルに向かうことにした。> 小田原から小一時間で宮ノ下の駅に着き、そこで降りた二人は一号線に出て富士屋ホテルまで歩きます。<一号線はあまり広くなく、交通量は多く、しかもバスやトラックが多いので歩きにくい。奈良屋という旅館が右手に現れる。「昔はこの奈良屋と富士屋がライヴァル同士だったらしいぜ。富士屋が外国人観光客、奈良屋が日本人観光客を、それぞれ専門的に引き受けていたらしいよ」御手洗が言った。> 富士屋の向かいにあった奈良屋ホテルの写真が富士屋ホテルの史料展示室にありました。 前回来たときはまだ建設中でしたが、一号線沿いの跡地には上の写真のようにエクシブ箱根離宮という高級リゾートホテルが建てられていました。 調べてみると会員制リゾートホテルのようですが、後ろに写っているのが富士屋ホテルです。いずれのホテルも同族経営での存続は難しかったようです。 <その向かいに嶋写真館というものがあり、ショウウインドウの中に、富士屋を訪れた有名人の写真が飾られている。和服を着たヘレンケラー、テニス・ウェアーのチャーリー・チャップリン、息子やヨーコ夫人と一緒のジョン・レノン、などが並んでいる。富士屋というホテルの特徴が、たぶん現れているのだろう。> 創業明治11年の嶋写真店です。   ショウウィンドウには小説に書かれている写真が今も並んでいました。<富士屋は、一号線が右手にカーブしていくあたり、つまり一号線をたどっている者には突き当たりと見える位置に存在していた。> ようやく富士屋ホテルに到着です。

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