曽野綾子『遠来の客たち』ご一行のバスツアーから離れて、箱根温泉にゆかりのある「ベルツ博士の碑」があるという旧箱根離宮跡の恩賜箱根公園を尋ねてみました。
公園のほぼ中央に建つのが、かつての離宮を思わせる「湖畔展望館」です。
館内には函根離宮の資料が展示されており、華やかな時代を物語っていました。
ベルツ博士と堂ヶ島の箱根離宮の関係も展示されていました。
2階のバルコニーからの景色です。
公園内を探し回ってようやく見つけた「ベルツの碑」、字も薄くなっています。この碑は、皇太子の健康を願って離宮をこの地に設けることをベルツ博士が進言したと伝えられることから、箱根町が建てたそうです。
恩賜箱根公園の「ベルツの碑」は期待したほど立派なものではありませんでしたが、以前森鴎外の三四郎を散策しようと東大のキャンパスツアーをしたとき、
三四郎池から医学部付属病院まで歩き、鴎外の恩師でもあるベルツ博士の肖像彫刻があったことを思い出しました。
(上の写真は病院の壁にある診断、治療、予防をテーマにしたというレリーフ)
左側がベルツ博士の像です。ベルツは明治29年、東京医学校の教授として招かれ、温泉の医学的活用に着目し、しばしば箱根を訪れ、箱根富士屋ホテルの創業者山口仙之助とは深い親交があったそうです。
また富士屋ホテルに滞在の折、女子従業員がヒビやアカギレの手で働いているのを見て、グリセリン、エチレンアルコール、水、水酸化ナトリウムに香料を混合処方したグリセリンカリ液を与えたところ、大変よろこばれ、多くの女性に愛用されて有名になった「ベルツ水」でした。
ベルツ水は現在もグリセリンカリ液として販売されています。今回の箱根富士屋ホテルの滞在では色々な人のつながりを知ることができ、楽しい旅でした。
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