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Channel: 阪急沿線文学散歩
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田中純著『フェルメールの闇』

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唐突ですが、フェルメールのファンです。フェルメールの絵に惹かれるのは、光と影の天才画家といわれる技法もさることながら、その絵に中世に暮らす人々の物語性があり、鍵穴から覗くPeeping Tom的な密やかな楽しみがあるからでしょうか。  フェルメールの関連本は色々読んできましたが、朽木ゆり子著『フェルメール全点踏破の旅』では、著者がフェルメールが展示されている世界の美術館を訪れ、紀行文としてまとめられており、全作品を知ることができます。  私がフェルメールの世界に引き込まれたのは2003年の映画『真珠の耳飾りの少女』でした。 監督はピーター・ウェーバー、主演女優はスカーレット・ヨハンソン。    その映像は17世紀のオランダの景色や暮らしをまるでフェルメールの絵そのままに柔らかい光と影のコントラストで表現し、何度繰り返し見てもあきることはありません。    先日図書館で、田中純『フェルメールの闇』という2000年に出版された模写と贋作をテーマとしたミステリー小説を見つけました。  小説の20章あまりの表題は、すべてフェルメールの絵のタイトルから取られ、簡単な解説もそこで紹介されています。そして、小説の最後では、「フェルメール模写美術館」が開館されます。   この小説とは関連はありませんが、2012年には実際にフェルメール・センター銀座の「フェルメール光の王国展」でフェルメールの全作品37点が制作年順に、原寸大で所蔵美術館と同じ額装で展示されました。複製画であるためか、写真撮影が許されており、その時撮影した写真を使って小説を紹介していこうと思います。    ところで著者の田中 純氏はWikipediaで調べると政治家として紹介されています。驚いたことに今年から福岡県行橋市長をされているそうです。 <1946年生まれで、京都大学教育学部卒業。1971年大蔵省入省、外務省在ブラジル日本大使館一等書記官等を歴任。2011年には福岡県議会議員選挙に立候補し現職を破って初当選。2014年に投開票が行われた福岡県行橋市長選挙に県議を辞職して立候補、元県議、前市長の推す元市議会議長を破り、8度目の挑戦にして初めての当選を果たした。>作家としての道は中断し、官僚から政治家に転身されたようです。

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