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Channel: 阪急沿線文学散歩
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山崎豊子『華麗なる一族』神戸の栄町通の阪神銀行のモデルは今

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『華麗なる一族』は山崎豊子の綿密な取材により、昭和30年代後半から40年代の出来事をうまく織り込んだ銀行の物語となっています。そこには当時の神戸、阪神間の風景も描かれており、モデルとなった場所をしばらく訪ねてみようと思います。 今回はまず、万俵大介が頭取を務める阪神銀行です。場所は次のように栄町通となっています。<神戸元町の栄町通は、電車通りを挟んで、戦災を免れた銀行、証券会社の建物が、両側にずらりと並んでいる。戦後になって、建物を新築した大銀行は、新市庁舎のある江戸町の辺りへ移転して行ったとはいえ、戦災に焼け残った建物がたち並ぶ栄町通りは、今でも戦前からの金融街のたたずまいを残している。>早速、神戸大丸を少し下り栄町通を歩いてみました。(地図の黄色の着色部)勿論今は市電は走っていません。<その中でも阪神銀行の建物が一際、古めかしい。正面玄関に六本の石の円柱が聳え立ち、バロック風建築の分厚な石で囲まれた五階建ての建物の窓は高く小さく、容易に人を寄せ付けない荘重さを漂わせている。>小説に描かれている六本の石の円柱が聳える建物が栄町通の昔の絵葉書にありました。 元は大正5年完成の三井銀行神戸支店です。その後、第一勧業銀行神戸支店となっていましたが、残念ながら阪神淡路大震災で崩壊してしまいました。現地を訪ねますと、そこには「ライオンズタワー神戸元町」が建っていました。正面部分は昔の建物のイメージにあわせて作られたそうです。アプローチに行ってみますと、震災前にあった建物の説明と、そこに使われていた石材が展示されていました。石柱の一部でしょう。ここまで来た甲斐がありました。ところで1974年の映画『華麗なる一族』の阪神銀行。旧第一銀行本店に似ていますが、どうでしょうか。

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