Quantcast
Channel: 阪急沿線文学散歩
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2518

W.M.ヴォーリズの関西学院と甲山

$
0
0
 玉岡かおる『負けんとき』の第六章「種まく日々」では甲山と関西学院が次のように登場します。 <建築事務所の仕事は、その最盛期にさしかっかっていたといってよい。白い時計台を持つ関西学院の上ヶ原キャンパスの完成は昭和四年。自然を愛するメレルの面目躍如、背後に甲山を抱えこんだ雄大な学舎だ。瀟洒な南スペイン式の回廊を持つ神戸女学院の岡田山キャンパスは昭和八年。また同年、大阪市内で御堂筋が拡幅された時、心斎橋筋に位置する大丸デパートが至高の空間として内部にあまたの趣向をこらして登場した。>  ヴォーリズは関西学院上ヶ原キャンパスの建設にあたって、甲山を背景とした自然の美しさとの調和を図ったようです。    ブログ「ヴォーリズを訪ねて;西宮の関西学院上ヶ原キャンパス」ではキャンパスの配置図が紹介されており、図中に正門から中央芝生、時計台を通した中心線が引いてあり、一番上には「LINE A-A TO CENTER ON MT.KABUTO」と記され、明確に甲山と学院配置が意図され設計されていたことが述べられています。http://gipsymania.exblog.jp/4726296/  玉岡かおる『負けんとき』上巻のハードカバーの関西学院には甲山は描かれていませんでしたが、今回刊行された文庫本の表紙の絵には甲山らしき山が描かれていました。  しかし、子供のころから甲山に馴染んできた私には、どうしても甲山に見えません。  あのまーるく、禿げ山だった甲山。  明治時代に日本にやってきた欧米人はBismarck Hillと呼び、谷崎潤一郎『細雪』のサイデンステッカーによる英語版‘The Makioka Sisters’ではHelmet Mountainと英訳され、村上春樹『海辺のカフカ』ではOWAN-YAMA Rice Bowl Hill として登場します。 http://nishinomiya.areablog.jp/blog/1000061501/p10763877c.html  このお話、先日の玉岡かおるさんとの懇親会場で、文庫本を購入しサインしてもらったついでにお話してしまいました。 うるさいおっさんやと思われたことでしょうが、甲山を愛する西宮の一市民として、どうしても言わずにおれませんでした。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2518

Trending Articles